菊花石物語

菊花石 花の種類 皮目 樋口 乳と入

皮目

マグマが石灰岩を溶かしたので、石灰岩の滓(かす)が皮目を作っています。沢山溶かした母岩の皮目は厚く、少ない母岩の皮目は薄くなっています。皮目には、流れた跡や花の膨らみを見せています。昔、専門店の花出しは皮目を取り去って作品にしていたのです。花のない母岩の裏と横は皮目を残すと風合いが生まれ、花と母岩の関係が理解できるのです。専門作家と愛好作家の作品の大きな違いは、皮目を残すか削るかの違いです。

薄皮
薄皮

皮樋母岩に被る薄い皮目です。母岩が薄いと皮目も薄いのです。皮目には、上から下に流れた後を付けています。

厚皮
厚皮

5ミリほどの硬い皮目です。厚みのある皮樋母岩に被ります。この皮目の下にそって花が咲いているのです。

浮皮

薄皮や厚皮の上に被る軟らかい皮目。木の棒でこすると取れてしまいます。浮皮を丁寧に取り去ると、母岩の流れた跡や特徴が表れてきます。

青皮
青皮

緑色をした軟らかい皮目。塊となって母岩の中や端に入っています。写真は、巻き込み母岩が皮目質を巻き込んだので青皮が渦巻いています。

花皮
花皮

花の弾けた勢いが皮目を膨らませています。浮き皮を取り去ると、花皮が表れてくることがあります。

樋口 乳と入

左半分が樋口
樋口

母岩には、必ず樋口があります。マグマの流れ込んだ跡、人間で云えば臍(へそ)にあたります。白い石英が被っており、この周辺は花がなく、また乱れていますので、多くの場合取り去ります。

母岩の中に石灰質が花とならず、白い流れとなって入る模様を「乳」(にゅう)といいます。大きな母岩の皮目の下などに厚い流れる層を造っています。

母岩の中を直断して入る白い線を「入」(にゅう)といいます。母岩は山の地圧を受けて割れ、そこに石英が入り込み、母岩を堅く結合させています。もし、入が入らなければ菊花石は小さな欠片となり、割れた面は腐食して花も花序も色彩の美しさも錆びていたかもしれません。入は母岩を繋ぐ大切な線であり、美の線として愛好作家は大胆に取り込みました。