菊花石物語

菊花石作品集 石の風景

菊花石作品集 石の風景

菊花石を削っていると、余材や作品にならない割れた石が沢山出来てきます。そうした石を薄く板状に引いてみて、平面的な中に菊花石の花の並びと奥行きを感じさせる面を選んで風景を作りました。

飛花

母岩の巻き込みに合わせて花と花弁が躍動しています。これは軟らかい母岩に咲いたのですが、母岩と花が瑪瑙化しているので硬い母岩が青く輝きピンクの花が舞っています。

飛花 横9.5高5

乱れ菊

細い花弁が乱れています。母岩が軟らかい時動いたのでしょうか。全ての花が躍動感をもっているのです。

乱れ菊 横16高7.5

帽子

大きな花弁の端から小さな花弁がでています。花弁の端に粒子を集めて再び弾けたのです。さらに石を割った割れが前後に大きくずれたので、繊細な仕組みと力強さがこの小さな石にあります。

帽子 横7.5高5.5

花被り

山石(火山灰)の上を流れたマグマが強く結合しています。横から見ると黒い山石と黄緑の母岩が混然となり一体化しています。生成時は水と油のようにせめぎ合いをしたのです。

花被り 横6.3高10.5

縦の花弁

直径30cmを超える花弁の断面です。花弁が外側から氷が凍るようになったので、覆輪の氷結模様をまとっています。

縦の花弁 横11高7

横の花弁

上と同じ石でその花弁の横側です。花弁と花弁が押し合っています。その押し合うあいだに小さな花が隠れています。

横の花弁 横9.5高5

薄樋の花

薄く生成された母岩は皮目の下に沿って花が並んでいます。そこを切ると花が並んで表れます。そして多くの花に芯があります。それは芯が大きかったからで、小花で大きな芯は珍しいのです。

薄樋の花 横8.5高7.5

薄樋の花

上の作品の上側です。同じようでも刃の厚みだけ違っています。そして、上と下では少しだけ皮目がついている上側に魅力があるのです。

薄樋の花 横8.5高7.5

縦の並び

花の並びを縦に見ています。満開の花、八分咲きから八重咲きと花の咲いている深さを見ているのです。そして、大胆に入る割れが花を引き締めています。

縦の並び 横10高6

総花菊

花に動きを感じます。この花を総花菊とよんでいます。花弁の先を削り込むと花が広がり、全体が花になるのです。平面は花の仕組みを表していて菊花石がわかるのです。

総花菊 横11高5

粒菊

小さな核が弾けて粒菊をつくっています。余りにも核が集まり過ぎている所は押し合い団子になっています。

粒菊 横9.5高6.2

粒菊の余材は文鎮に。面をすっきり立体的にすると、自然が凛として表れた文鎮になります。

制作

肩の線が崩れた母岩や小さく割れた石を使います。小さくても母岩特徴が出るように、皮目や割れた所から見える花を参考にして花の流れを考え切断する位置を決めます。

枠を作り、石膏を水で溶いて台と石を固定します。石膏を強くするために繊維を混ぜています。

石は外周10インチ、刃の幅1.5ミリの切断カッターで切断します。真っ直ぐ平面に切るために、最初は僅かな切り込みのガイド溝を入れ、歪みのないように低速で6~10ミリ厚に切断します。

切断した石は表になる面と花の構図を決め、四角に切断します。石が割れやすいので、切断する時は下に段ボールをひいて切断します。

面の荒磨きと外周をカンナ盤形の研削盤で荒削りします。研削面の少ない程仕事能率があがるのです。

カンナ盤で荒磨きと外周を決めた菊花石。

仕上げ磨きは平面盤で磨きます。最初、150ミリのダイヤモンドで下磨きと外周を完全に仕上げます。

Disco社製のダイヤモンドパットを使い150番、300番、1000番、3000番、ツヤと順番にかけていきます。加工能率を上げるためにパットの中を抜いています。磨くと酸化しない肌と菊花石の持つ宝色が表れます。右下はツヤ出しパット、周速を遅くするためにパットを小さくして使っています。

台はシナの合板で枠は桜材で造ります。そして石に合わせて台を掘り込みます。枠の合わせを丁寧に仕上げます。台より石を少しだけ出しています。