菊花石物語

菊花石作品集 改作

菊花石作品集 改作

火山のマグマがつくり出した石は生成時の自然の流れをもっています。そんな石の中で菊花石は自然の流れを花に置きかえているのです。その自然の流れを見いだして見せるのが花出しです。それは、私たちが失った自然感を取り戻す作業をしているのです。しかしながら、岐阜では未だに海底にマグマが流れ込んで出来たなどと言っているのです。

マグマの流れ(生成)を理解することなく、膨大な菊花石が産出され、安易に花が出されてきました。そして産出が終わりました。産出のない今、菊花石の本質を見いだして、少しでも自然を感じる石に造り直しすることにあるかと思います。

改作1 玉樋母岩の削り直し

この菊花石は平成24年の秋、私と愛好者2人で赤倉山に行く途中、西国33か所、谷汲寺の参道にある神山石店に立ち寄り求めた菊花石です。販売している中で一番花の色彩が美しい母岩ですが、形が歪んで見苦しかつたのです。台のつくりと花の出し方からみて愛好者が花を出したのでしょうか? 菊花石がわからずに削っているので花の出しすぎた所と出し足らない所などで母岩の形が凸凹になっています。この石では、あまりにも可哀想なので求めて改作しました。

左右24センチ 純白の瑪瑙花 皮目質の玉樋母岩の上に咲く花は扁平で大きく、中の花は丸いのです。初心者では思考が続かず石の中で迷ったのです。その上、母岩と花が硬いので削りにくいのです。
神山石店 柿を販売しています。趣味が嵩じて菊花石も商っています。誠実なお店です。休みの日もあるので電話を記しておきます 0585-55-2428
裏側 青皮を被っています
正面の左側
正面 母岩の上になる
正面の右側
上側

中途半端に花を出したので、花に繋がりがなく形の悪さだけが目につきます。

①見苦しい花と形の直し

上の花が大きく張り出しています。出ている膨らみを平面的に削り直し、花の繋がりをスッキリさせます
上の花の立ち上がった斜線部分を削り取り、後ろの花との繋がりを取りました

②裏側の花出し

裏側の青皮をかぶった所の花を出します
ダイヤモンドカッターで皮目を削ぎ落としていきます。裏側の花は球状になっているので、大胆に切り込んで花を出していきます
角度を変えながら切断して花を出します。花芯の手前で止めておきます

③左側の切断

花出しは自然を深く考えます。それを手早く形にするのが道具です。道具は手元がしっかりした湿式の切断機を使います
正面の左側のサビた見苦しい所を切断しました
大きく切断しています
切断して形を決めた後、裏側の余分な母岩を削ぐように切断していきます

④荒削り

切断機とダイヤモンドカッターを交互に使い分けて大まかな形に仕上げます。左の青皮を取ると形が崩れるので残します。見苦しいサビた所も取れました
玉樋母岩は花が巻き込んで出来ているので、全体を出すと花の外側の繋がりが出ています。斜線部の凹んだ所は、中に巻き込む花なのです

⑤花の追い出し

花の追い出しをします。追い出しは花が平面的に繋がるようにします。花の芯を追い込んで面を凸凹にしないようにします
滑らかなラインで仕上げます。母岩の質が良いので、荒削りでも花と母岩の色彩がはっきりしています
湿式のダイヤモンドグラインダーを使う。最後は手前に引くように掛けていきます
粗くても揃った研削面に仕上げます
加工前 大きく皮目質の母岩を残しています。切断する切断機がなかったのでしょうか?
改作後 下側、約3/1程削り取っています。素早く加工出来る、ダイヤモンド工具があって花が開いたのです

⑥仕上げ削り

荒削りの跡にクレヨンを塗ります。クレヨンを目印にして荒削りの跡を完全に取ります
粉塵を押さえるために、カップ砥石の青砥がけも湿式加工でしています。道具の不備が体を悪くして、安易な花だしにつながるのです
仕上げ削り カップ砥石の底で引くように滑らかに削っています。滑らかに仕上げると手磨きが早く美しく仕上がります
見立て 全体のバランスを見ます左側の膨らみと右端の花が出花なので、ここを削り直します。出花*飛び出した花

荒仕上がり

裏側
正面の左側
正面
正面の右側
上側

この後、手磨きで最終800番のペーパーで仕上げます。磨き上げると緑の母岩に瑪瑙の白花が凛として輝きます。最後に、台をつくり出来上がりです。